中島理論で見るGIレースの勝ち馬(1995年編)

[外]ランド
  • 鹿毛
  • 1990.1.23生
  • 独国・イットリンゲン牧場生産
  • 馬主・イットリンゲン牧場
  • 独国・H.イエンチ厩舎
ランドの4代血統表
Acatenango
栗毛 1982
種付け時活性値:1.75
Surumu
栗毛 1974
★Literat
鹿毛 1965
Birkhahn 1945.3.4
Lis 1960 ♀
Surama
黒鹿毛 1970
Reliance 1962
Suncourt 1952
Aggravate
鹿毛 1966
Aggressor
鹿毛 1955
Combat 1944
Phaetonia 1945
Raven Locks
青毛 1945
Mr.Jinks 1926
Gentlemen's Relish 1926
Laurea
鹿毛 1983
仔受胎時活性値:1.50
Sharpman
栗毛 1976
種付け時活性値:1.50
Sharpen Up
栗毛 1969
エタン 1961.3.14
Rocchetta 1961
Miss Manon
鹿毛 1970
ボンモー 1963.3.12
Miss Molly 1965
Licata
鹿毛 1973
仔受胎時活性値:0.25
Dschingis Khan
鹿毛 1961
種付け時活性値:0.75
★Tamerlane 1952
Donna Diana 1956
Liberty
鹿毛 1966
仔受胎時活性値:1.50
Birkhahn
鹿毛 1945
種付け時活性値:1.00
Lis
鹿毛 1960 ♀
仔受胎時活性値:1.25
ランドの4代血統構成&4代父系の活性値&4代父系の分枝状況
母父 祖母父 曾祖母父
Acatenango
(Bay Ronald系)
Sharpman
(Native Dancer系)
Dschingis Khan
(Blandford系)
Birkhahn
(Bay Ronald系)
父の活性値 母父の活性値 祖母父の活性値 曾祖母父の活性値
1.75
(7歳時交配)
1.50
(6歳時交配)
0.75
(11歳時交配)
1.00
(20歳時交配)
父の分枝状況 母父の分枝状況 祖母父の分枝状況 曾祖母父の分枝状況
Birkhahnの3代孫 Birdcatcherの15代孫 Birdcatcherの11代孫 Birkhahn自身
ランドのB&B理論的総括
8代残牡先祖数 4代血統構成
(資質固定指数)
潜在能力値 少ない先祖etc
21/128 C  x  F  C
(0.33)
6.93 Acatenango
Sharpman
Dschingis Khan
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 何番仔?
Acatenango 4.50 半弟も独ダービー馬
(No.7-B)
2番仔
(不受胎後)

潜在能力値は数値が少ないほど大きいことを示しています。

[Notes]

『2400mのプロフェッショナル』ランド。世界4ヶ国を転戦してやって来た独ダービー馬ランドが、上がり3ハロン34秒8の末脚を繰り出し、独国馬として初めてジャパンカップを制しました。ナリタブライアンヒシアマゾンという2枚看板でジャパンカップ4連勝を目指した日本勢でしたが、2400mのGIレース5勝の強豪の前に後塵を拝してしまいました。ランドの鞍上は『南アフリカ出身の英国首位騎手』マイケル・ロバーツ騎手、所属は独国のハインツ・イエンチ厩舎。両者ともにジャパンカップ初勝利でした。レースの2着にはヒシアマゾン、3着には前年4着の仏ダービー馬エルナンドが入りました。

ランドの4代血統構成は、『Hampton系×Native Dancer系×Blandford系×Hampton系』となっています。Native DancerをPhalaris系とするならば、Hampton系とPhalaris系のニックス配合となります。アイネスフウジン、ウィナーズサークル、カミノクレッセなどがこのニックスによる活躍馬です。4代血統表で目に付くのは、やはり直父系3代父Literatと直牝系3代母Libertyの『全兄妹クロス』でしょうか。Literatは直仔Surumuに8歳時種付けによる0の遺伝を与えています。ゆえに、この全兄妹クロスは近親弊害を起こすことなく、先祖の数を減らして資質の固定化に成功しています−しかし、『8代残牡先祖数理論』的には『21/128』と多くの先祖が残る配合となっています−。さらに、4代血統構成馬の活性値を見ると、『1.75、1.50、0.75、1.00』ですべてが別数値となります。この活性値の違いが、知的素質の向上に一役買っています。

1993年の日本ダービー馬ウイニングチケットの項で、その父トニービンについて述べました。トニービンは愛国産ながら伊国でGI5勝を挙げました。繰り返し上梓しますが、

イタリア、ドイツの競馬場は右廻りのトラック・コースで日本の芝馬場にもっとも似ている。

−中島国治著、『血とコンプレックス』(KKベストセラーズ)、P274より抜粋。−

ランドは、前述した通り独国生まれの独国馬です。JCを含めたGI6勝の内訳を見ると、3歳時は独ダービー−開催場であるハンブルグ競馬場のコースレコード勝ち(2分26秒80)−、独国の伝統GIであるバーデン大賞を勝ちました。4歳時は前年に引き続きバーデン大賞、そして伊国のジョッキークラブ大賞を勝ちました。5歳時は日本のJC、伊国のミラノ大賞、独国のメルクフィンク銀行賞を勝ちました。まとめると独国3勝、伊国2勝、日本1勝となります。やはり、独国馬は日本馬場に適性があるようです。中島氏が『血とコンプレックス』内で例に挙げられた1987年のJCの勝ち馬、仏国馬ルグロリュー(英国産)にしても、米国GI1勝、独国重賞3勝(GI、GII、GIII各1勝)でトラックコース得意の馬でした。

ランドの牝系は、独国で受け継がれている7号族。母Laurea(愛国産)は英国で0勝。ランドは不受胎後の2番仔となります。ランドの1歳年下の半弟Larocheも、ランドと同じく独ダービー馬です。祖母Licata(独国産)は独国で3勝を挙げ、独1000ギニー(GIII)を勝ちました。Licataの初仔であるBrigataの孫に、ベルギーGIであるエドモン・ドラグマン賞を勝ったLano、同じくベルギーGIであるグラン・クリテリウム、ベルギー2000ギニーを勝ったBossakaが出ました。Laureaは3年連続不受胎後の3番仔となります。曾祖母Liberty(独国産)は独国で2勝。Licataは3番仔となります。余談となりますが、ボトムラインをよく見ると、繁殖牝馬の名前の頭文字はすべて「L」で始まっています。独国の生産馬は母親の名前の頭文字を代々受け継いでいきます。ランドの場合は、8代母Lovely Naplesから綿々と「L」の頭文字が受け継がれてきました。

直牝系ではないですが、直父系祖父Surumuの祖母にSuncourtの名前が見えます。どこかで見た名前ですよね。そう、日本の名種牡馬テスコボーイのお母さんがSuncourtです。さらに母父Sharpmanの直父系祖父がエタン、母父がボンモーとなっています。遠い異国のように思える独国でも、サラブレッドの血統はちゃんとつながっているのですね。

ランドは自身が独ダービー馬です。父Acatenangoも独ダービー馬です。さらに祖父Surumuも独ダービー馬です。どのような『マジック』を使われているのか分かりませんが、独国の生産者の方々は「ダービー馬はダービー馬から」という格言を見事に実現されています。独国のサラブレッドの年間生産頭数はおよそ1500頭程度です。その少ない生産頭数の中から、世界レベルにある馬を輩出できるということ。やはり欧州の懐は深いです。

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