Home >> B&B >> 第62回オークス出走馬(その3)

第62回オークス出走馬について、中島理論的考察を中心に述べてみたいと思います。その第3回目は獲得賞金順上位5頭の馬たちです。<初出:2001/05/17>

※先祖馬の生年月日の後にある(  )内の数値は、受け渡した活性値の値を示しています。

馬名 8代残牡先祖数 潜在能力指数 少ない先祖
(市)サクセスストレイン
鹿毛 1998.4.9[F7-C]
9/128
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Bald Eagle
形相の遺伝 料の遺伝 母の何番仔?
ティッカネン 5.00 4番仔
母父 祖母父 曾祖母父
ティッカネン(1.50)
芦毛 1991.1.23
ノーアテンション(0.50)
鹿毛 1978.3.1
ノーザンテースト(0.25)
栗毛 1971.3.15
Bald Eagle(1.25)
鹿毛 1955.3.29
祖母 曾祖母 4代母
キャリイアウト(2.00)
栗毛 1989.5.3
ポトマックチェリー(1.75)
鹿毛 1981.3.13
サンサン(0.75)
黒鹿毛 1969.4.9
Sail Navy(0.50)
鹿毛 1958

[Notes]
「地味ぃ〜」に好戦を続けます、サクセスストレイン。走れど走れど人気にならないタイプです。府中コースはクイーンカップを制していますし、案外、侮れないかも知れません。今年のオークス出走馬のうち、本馬の他に3勝以上挙げている馬は、テイエムオーシャンとダイワルージュの2頭だけです。

[セールスポイント]
左回りが得意そうなこと。本馬は形相の遺伝を父『ティッカネン』から受けました。左回りの米国芝GIを2勝している父の特性が上手く出たのでしょう。距離延長も、母父ノーアテンションのイメージと合わせて考えると、なんとかこなせるように思います。また、近親交配の強い馬のため、8代残牡先祖数も『9/128』まで減りました。料的遺伝値の総和も『5.00』と大きく、比較的安定して走れるタイプの馬です。

[ウイークポイント]
Nearco4段付け配合。最近はPhalarisの同系配合馬がたくさんGIを制していますが、やはり雑種性を呼び起こすために異系を組み込むべきです。本馬は「女馬」であること、そして4代血統構成の活性値が『1.50、0.50、0.25、1.25』とすべて別数値であることにより好走が可能となっています。あとは、母キャリイアウトが1200mのレースしか勝っていないことが気掛かりです。形相の遺伝がティッカネンであることは救いですが……。

馬名 8代残牡先祖数 潜在能力指数 少ない先祖
アスクコマンダー
鹿毛 1998.4.2[F16-A]
16/128
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形相の遺伝 料の遺伝 母の何番仔?
コマンダーインチーフ 4.00 初仔
母父 祖母父 曾祖母父
コマンダーインチーフ(1.75)
鹿毛 1990.5.18
ジェイドロバリー(1.00)
黒鹿毛 1987.3.14
リアルシャダイ(1.50)
黒鹿毛 1979.5.27
ファバージ(1.50)
鹿毛 1961.4.19
祖母 曾祖母 4代母
エイブルカグラ(1.25)
栗毛 1992.4.9
シャダイカグラ(1.25)
栗毛 1986.3.23
ミリーバード(0.25)
栗毛 1976.5.11
ラバテラ(1.25)
栃栗毛 1970.3.14

[Notes]
桜花賞と同じ日に行われた忘れな草賞を制しました、アスクコマンダー。母は幻の桜花賞馬と言われたエイブルカグラ、祖母は本物の桜花賞馬シャダイカグラ。この牝系を知り尽くされている伊藤雄二調教師が、満を持してオークスに送り込みます。

[セールスポイント]
本馬は母の「初仔」となります。「初仔の腹つくり」と言われますが、実際には活力のある良駒がたくさん生まれています。本馬の形相は、英国ダービー馬である父『コマンダーインチーフ』です。距離適性は十二分に持ち合わせていると考えます。

[ウイークポイント]
前走の忘れな草賞で今年の6戦目でした。伊藤雄二厩舎の所属馬にしては珍しい、「叩き上げ」という感じがします。馬の素質を見極められる眼は天下一品の方だけに、もしかしたら、前走の1着は意外だったのかもしれません。使われつつ良化しているのだとは思いますが、重賞初挑戦がオークスとなるのはどうでしょうか。女どうしの争いというのは、実は厳しい闘いです。それは、人間も馬も変わりません(笑)。また、同父系の強い馬(=テイエムオーシャン)がいることもマイナス材料です。

馬名 8代残牡先祖数 潜在能力指数 少ない先祖
(父)(市)オイスターチケット
鹿毛 1998.3.27[F3-L]
14/128
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タリヤートス
形相の遺伝 料の遺伝 母の何番仔?
ウイニングチケット(Severn Bridge) 6.25 or 4.25 8番仔(2年連続産駒なし後)
母父 祖母父 曾祖母父
ウイニングチケット(1.75)
黒鹿毛 1990.3.21
トウショウボーイ(0.50)
鹿毛 1973.4.15
タリヤートス(0.25)
黒鹿毛 1957
ライジングフレーム(1.00)
黒鹿毛 1947
祖母 曾祖母 4代母
ナムラピアリス(1.25)
栗毛 1984.4.28
ヤマニサクラ(2 or 0)
鹿毛 1967.3.29
モンテホープ(1.50)
鹿毛 1960.3.27
トサモアー(1.50)
鹿毛 1953.4.14

[Notes]
桜花賞ではブービー人気ながら2着争いに食い込み6着となりました、オイスターチケット。札幌のオープン特別であるすずらん賞の勝ち馬です。父は第60代日本ダービー馬ウイニングチケット。地味ながら、牝馬クラシックにちゃんと直仔を送り込んでいます。

[セールスポイント]
本馬の牝系は、日本が誇る名牝系のひとつであるフロリースカップ系スターリングモア分枝です。曾祖母モンテホープから天皇賞・春の勝ち馬リキエイカンが出ています。近年の在来牝系ではフロリースカップ系がもっとも活性です(特にシラオキ分枝)。父ウイニングチケットもクレイグダーロッチ系ですから、日本の風土に合った牝系どうしの配合となっています。いざという時の底力は、受け継がれてきた牝系から発現されるものなのでしょう。

[ウイークポイント]
このオークスが通算11戦目です。キャリアを積んでいるのは確かですが、2歳時に8走は走り過ぎた感じがします。また、レース数をこなしてはいるものの、最長距離が1600mですから、距離経験では他馬と差がありません。上昇度でひと息という感じです。それに、オーナーの金子真人さんは「翌週」がありますからね。

馬名 8代残牡先祖数 潜在能力指数 少ない先祖
ネームヴァリュー
鹿毛 1998.3.3[F19-B]
5/128
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Honour and Glory
Summer Tan
形相の遺伝 料の遺伝 母の何番仔?
Hounor and Glory 5.50 2番仔
母父 祖母父 曾祖母父
Hounor and Glory(1.00)
鹿毛 1993
Seattle Slew(0.00)
黒鹿毛 1974.2.15
Graustark(0.75)
栗毛 1963
Summer Tan(0.00)
鹿毛 1952
祖母 曾祖母 4代母
マジソンカウンティ(1.50)
鹿毛 1991.2.26
Steal a Kiss(1.75)
鹿毛 1983
Queen's Paradise(1.25)
芦毛 1969
Regal Seal(1.00)
芦毛 1964

[Notes]
札幌で新馬、コスモス賞を連覇して話題を集めた素質馬ネームヴァリュー。厩舎の大将格だったチェックメイトの無念を胸に、府中コースのGIレースに挑みます。

[セールスポイント]
中島理論使いの皆様がPOGで選択されていたように−ホントは私も選ぼうと思ったのですが、あまりにカブリそうなので止めました。残念−、中島理論使いにとっては垂涎の血統構成となっております。父がMan o'War系の新進種牡馬Hounor and Glory、母父Seattle Slew&曾祖母父Summer Tanが0交配、さらに父と祖母父と曾祖母父という3種類の異系(ネオ異系)で資質の固定化を図っています。これで走れなかったら、ウソになります。

[ウイークポイント]
父『Hounor and Glory』の形相が出てしまったのでしょうか、やや早熟傾向だったのかもしれません。札幌開催の後は阪神3歳牝馬Sから戦線に復帰しましたが、精彩を欠いています。現在の日本の牝馬GIは、どちらかというと主流父系の0遺伝を持つ馬が活躍する傾向にありますし、完全に異系の本馬は「繁殖牝馬になってから、主流父系と交配されて一流馬を出す」というタイプに見えます。

馬名 8代残牡先祖数 潜在能力指数 少ない先祖
(父)ポイントフラッグ
芦毛 1998.3.23[F16-H]
14/128
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トライバルチーフ
形相の遺伝 料の遺伝 母の何番仔?
プルラリズム(Cambrienne) 4.75 or 2.75 5番仔
母父 祖母父 曾祖母父
メジロマックイーン(0.50)
芦毛 1987.4.3
プルラリズム(1.50)
鹿毛 1980.4.9
トライバルチーフ(0.50)
鹿毛 1967
ラークスパー(1.00)
栗毛 1959
祖母 曾祖母 4代母
パストラリズム(0.50)
鹿毛 1987.5.15
トクノエイティー(2 or 0)
黒鹿毛 1978.3.2
アイアンルビー(1.25)
青毛 1972.2.11
風玲(1.00)
青毛 1959.4.8

[Notes]
ゲートで立ち上がった桜花賞以外は堅実に走っています、ポイントフラッグ。タイムフェアレディの回避により、メジロマックイーン産駒ただ1頭のオークス出走となります。

[セールスポイント]
メジロマックイーン産駒は、その形相に関わらず頭の良さそうな仔が多いです。現代血統における大先祖馬Nearcoが、7代にやっとひとつ現れるという異系交配の賜物でしょうか。本馬も、最優性先祖である母父『プルラリズム』のイメージと合わせて、大柄な割りに小器用な走りっぷりです。堅実。

[ウイークポイント]
プルラリズム産駒のイメージは「GIで甘いこと」ですが、形相を受けた本馬もそういう感じがします。また、本馬は馬体重が500kgを越える大型馬です。牝馬クラシックに限れば、500kg以上の出走馬は切りの対象になってしまいます。なぜか小さな馬ばかりが活躍するレース、それがオークスです。


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