Home >> B&B >> 第62回オークス出走馬(その1)

第62回オークス出走馬について、中島理論的考察を中心に述べてみたいと思います。その第1回目は桜花賞1着から4着までの馬たちです。<初出:2001/05/15>

※先祖馬の生年月日の後にある(  )内の数値は、受け渡した活性値の値を示しています。

馬名 8代残牡先祖数 潜在能力指数 少ない先祖
テイエムオーシャン
鹿毛 1998.4.9[F12]
9/128
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リヴリア  イーグル
形相の遺伝 料の遺伝 母の何番仔?
ダンシングブレーヴ 7.50 2番仔
母父 祖母父 曾祖母父
ダンシングブレーヴ(1.50)
鹿毛 1983.5.11
リヴリア(0.00)
鹿毛 1982.4.20
マグニテュード(1.50)
鹿毛 1975.3.16
イーグル(1.50)
黒鹿毛 1958
祖母 曾祖母 4代母
リヴァーガール(1.50)
鹿毛 1991.3.14
エルプス(2.00)
栗毛 1982.5.3
ホクエイリボン(2.00)
栗毛 1973.5.28
クインエポロ(2.00)
栗毛 1964.6.6

[Notes]
桜花賞を制したテイエムオーシャン。牝馬相手では負けなしの5戦5勝となりました。勝つ時はいつも2馬身以上の差をつける圧勝ぶりに、搭載している「エンジン」の違いを感じさせます。手先の非常に軽そうな走りっぷりです。誌上パドックなどではあまり分かりませんが、『優駿』2001年2月号では、かなり「べっぴんサン」なところを写真で見せてくれています。

[セールスポイント]
料的遺伝値の総和が『7.50』とべらぼうに大きく、連戦でもへこたれず、自身のスピードを生かせる距離では安定した走りを見せることができます。牝系は小岩井のビューチフルドリーマー系です。本馬は1991年の菊花賞馬レオダーバン以来となるビューチフルドリーマー系のGI馬となりました。配合面では、母父リヴリアの0遺伝とPhalaris系の近い所の配合により、8代に残る牡先祖数は『9/128』まで減りました。

[ウイークポイント]
4代血統構成がPhalaris系の近親で固められています。このような配合を行う時は、それぞれの父の活性値に強弱をつけるべきです。しかし、本馬は『1.50、0.00、1.50、1.50(左から父、母父、祖母父、曾祖母父の順)』と3系までも同数値のため、競馬が一本調子になりやすいと考えます。4系のうち3系が同数値のオークス馬は、1974年のトウコウエルザ(『0.50、1.50、1.50、1.50』)までさかのぼります。祖母エルプスも『1.50、1.50、0.00、0.00』の数値でオークスに敗れました。また、3歳春のダンシングブレーヴ産駒は、自身の「生真面目さ」を上手くなだめることが出来ず、距離に泣くケースが多く見られます。身体能力の高さははっきり最上位です。が、現時点での「気持ちの先走り過ぎなところ」にやや不安が残ります。一夏越えた後の京都の秋華賞は楽勝しそうですが……。

馬名 8代残牡先祖数 潜在能力指数 少ない先祖
(父)(市)ムーンライトタンゴ
栗毛 1998.3.27[F13-E]
19/128
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ダストコマンダー
形相の遺伝 料の遺伝 母の何番仔?
トニービン 6.00 2番仔(産駒なし後)
母父 祖母父 曾祖母父
ダンスインザダーク(1.00)
鹿毛 1993.6.5
トニービン(1.50)
鹿毛 1983.4.7
ディクタス(0.00)
栗毛 1967.4.11
ダストコマンダー(0.50)
栗毛 1967.2.8
祖母 曾祖母 4代母
サドーダンサー(1.75)
鹿毛 1990.3.24
スコッチダンサー(1.25)
栗毛 1984.4.2
ウインナワルツ(1.25)
鹿毛 1978.4.19
オドリコ(1.75)
鹿毛 1970.2.15

[Notes]
ファストフレンドでおなじみの中前義隆氏の生産馬、ムーンライトタンゴ。小柄な馬体ではありますが、あごっぱりの良い、利発そうな顔立ちの馬です。500万条件勝ちから挑んだ桜花賞では、鋭い差し脚を見せて混戦の2着争いを制しました。「厩(うまや)で見るよりも、競馬場で見る方が良い馬」というのは関西テレビの解説者・大坪元雄氏の言ですが、確かに、走らせてみて良いタイプなのかもしれません。

[セールスポイント]
母サドーダンサーが産駒なし後の7歳時交配で生産されました。牝系の4回の料的遺伝値の受け渡しもすべて若年期に行われており、テイエムオーシャンに負けず劣らず体力のある馬です。配合面では、Nearco系3本、Hampton系1本の4代血統構成により、資質の固定化がなされています。祖母父ディクタスが血統表の中で光を放っています。また、4代血統構成の最優性先祖が『トニービン』であり、2400mという距離の適性もありそうです。ダンスインザダーク、トニービン、ディクタスという交配種牡馬からは切れ味の鋭さを感じます。

[ウイークポイント]
父ダンスインザダークの初年度産駒ということで活力がありそうです。が、結局はサンデーサイレンス系に違いありません。歯替わりの期間に行われるオークスにおいて、今年も多頭数の出走が見込まれるサンデーサイレンス産駒とその同父系馬たち。果たして勝ち切るまではどうでしょうか。また、本馬にとって初めてとなる「長距離輸送」。小さな馬だけに、輸送による馬体への影響も懸念されます。それに、オーナーの金子真人さんは「翌週」がありますからね。ひとつ確実なのは、同じダンスインザダーク産駒のオイワケヒカリとの1着2着はないことです。

馬名 8代残牡先祖数 潜在能力指数 少ない先祖
ダイワルージュ
鹿毛 1998.5.4[F4-D]
11/128
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Crimson Satan  Beau Max
形相の遺伝 料の遺伝 母の何番仔?
Beau Max(Consentida) 5.00 or 3.00 5番仔
母父 祖母父 曾祖母父
サンデーサイレンス(0.75)
青鹿毛 1986.3.25
ノーザンテースト(0.00)
栗毛 1971.3.15
Crimson Satan(0.75)
栗毛 1959
Beau Max(1.50)
鹿毛 1947
祖母 曾祖母 4代母
スカーレットブーケ(0.25)
栗毛 1988.4.11
スカーレットインク(2.00)
栗毛 1971.5.5
Consentida(2.00 or 0.00)
鹿毛 1962
La Menina(0.75)
栗毛 1958

[Notes]
桜花賞はゲート入りを嫌がり、ぎこちないレースをしてしまいました。それでも3着に差し込むあたり、地力はあります。スカーレットブーケの仔が、母の雪辱となるでしょうか。美浦所属馬で長距離輸送がないのは、テンションの上がりやすいこの馬にとって良いことだと思います。

[セールスポイント]
祖母父Crimson SatanはBlack Toney系、曾祖母父Beau MaxはTeddy系と母方に異系が組み込まれています。流石に社台ファームの持って来た血統、米血どうしの配合でも上手く活力を呼び起こしています。サンデーサイレンスは、自身の母方の血がマイナーであるため、実は先祖の減る配合にはなりにくいのですが、それでもダイワルージュは『11/128』まで減らしました。そしてCrimson Satanのネオ異系効果により、潜在能力は『8.25』という高い数値となりました。

[ウイークポイント]
『サンデーサイレンス×ノーザンテースト牝馬』という組み合わせは、歯替わり後のGIでは3着までというのが定説となっています。端的に言えば、日本の繁殖牝馬の多くにノーザンテーストが入り込んでいるためでしょう。本馬の母スカーレットブーケは、ノーザンテーストが16歳時交配の0遺伝を受けているために活力はあるほうですが。また、過去のオークス1着&2着馬の血統を調べると、「曾祖母父が最優性先祖となっている馬」の割合が少ないことも気になります。ひとつ確実なのは、ハッピーパスやローズバドなど同じSS産駒との1着2着はないことです。

馬名 8代残牡先祖数 潜在能力指数 少ない先祖
ハッピーパス
鹿毛 1998.6.3[F4-D]
16/128
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ポッセ  High Top
形相の遺伝 料の遺伝 母の何番仔?
ポッセ(Forli) 5.25 9番仔
母父 祖母父 曾祖母父
サンデーサイレンス(0.75)
青鹿毛 1986.3.25
ポッセ(1.50)
栗毛 1977.5.15
High Top(1.25)
黒鹿毛 1969
セントクレスピン(1.25)
栗毛 1956
祖母 曾祖母 4代母
ハッピートレイルズ(1.25)
鹿毛 1984.5.29
ロイコン(2.00)
鹿毛 1975.3.4
Madelon(1.00)
鹿毛 1970
Azurine(1.00)
鹿毛 1957

[Notes]
岡部幸雄騎手悲願の桜花賞制覇は、今年もなりませんでした。シンコウラブリイの妹、ハッピーパス。姉と同じく気品のある顔立ちは、流石に良血馬の雰囲気です。『競馬ブック』誌上のPhotoパドックにおけるオメメの可愛らしさは、ウーム、Goodです(←アホ)。

[セールスポイント]
最近のSS産駒は『母方にNorthern Dancerを持たない or 持っていても0化している』という馬がよく走っている印象があります。本馬の血統構成にNorthern Dancerは見当たらず、走るSS産駒の条件を備えています。また、本馬は9年連続の出産となったハッピートレイルズの9番仔となりますが、兄アドマイヤチャンプが産み落とされた1997年3月22日から3ヶ月以上間を開けてから種付けされた産駒となります。中島氏曰く、「連産でも走れるタイプ」の生産馬です−しかし、この遅生まれは春のクラシックでは不利に働きます−

[ウイークポイント]
本馬は生年月日が『1998.6.3』となっているように、他馬と比べると成長面でやや遅れを取っている感じがします。馬体から受ける印象も「若さが抜け切らず、まだまだ成長途上」という感じです。また、本馬の最優性先祖が『ポッセ』ということにより、本質的にはマイラーと判断します。体型も寸詰まり気味ですし、オークスの2400mの距離では劣勢と考えます。ひとつ確実なのは、ダイワルージュやローズバドなど同じSS産駒との1着2着はないことです。


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