ジョウテンブレーヴ  [ Home >> B&B >> 2000年クラシック牡馬編 ]

2000年のクラシック候補生たちを中島理論的に分析していこうという企画です。
第11回目の今回は東京スポーツ杯3歳S(GIII)の勝ち馬、ジョウテンブレーヴ号を分析してみましょう。

以下の文章中、ジョウテンブレーヴは本馬と称します。4代血統構成において父は壱、母父は弐、祖母父は参、曾祖母父は四と表します。


ジョウテンブレーヴ   牡   鹿毛   1997.5.10生   美浦・相沢郁厩舎   Family No.12

[戦績]
東京スポーツ杯3歳S(GIII)1着、札幌3歳S(GIII)2着。3月8日の時点で5戦2勝、2着1回。

[血統]
父は米国産ダンシングブレーヴ(1983.5.11)。同馬は1980年代欧州最強馬の誉れ高い名馬。主な勝ち鞍に凱旋門賞(GI)、キングジョージVI&クインエリザベス・ダイアモンドS(GI)、英2000ギニー(GI)、エクリプスS(GI)等。通算10戦8勝。代表産駒に英愛ダービー馬コマンダーインチーフ(1990.5.18)、伊ダービー馬ホワイトマズル(1990.3.21)、愛オークス馬ウィミズバイト(1990)、桜花賞馬キョウエイマーチ(1994.4.19)、エリザベス女王杯馬エリモシック(1993.3.19)等。同馬はマリー病という奇病を持っていたため、種付け頭数の制限をされていました。そのために産駒数が少ないです(日本で8シーズン供用されて、産駒数はおよそ230頭ということです)。16歳時交配となった1999年の8月2日に死亡。

母はタクノギャル(1991.3.25)。同馬は現役時代10戦0勝。本馬は母の2番仔。牝系は、日本の名牝系ビューチフルドリーマー(1903)系。同牝馬は明治40年(1907年)に小岩井農場が英国より輸入。100円が現在の1億円に当たると言われるその当時、6000円で輸入された高額繁殖牝馬。本馬はビューチフルドリーマー系第三ビューチフルドリーマー(1917)分枝、第三オールスクエーア(1941)系に属します。本馬の近親にモガミチャンピオン(1985.3.17)、ピアレスレデイ(1979)、ニホンピロラック(1988.3.22、ピアレスレデイの仔)等。

本馬の8代残牡先祖数は『14/128』と推定します。母父ロイヤルスキー(1974.5.24)が16歳時交配による『0の遺伝』を与え、祖母父トウショウボーイ(1973.4.15)が10歳時交配により多数の先祖を準0化したことで、うまく先祖を減らしました。しかし、本馬は直父系Northern Dancer(1961.5.27)有数値の牡馬です。統領性という観点からは、歯替わり以後のGIレースでは割り引いて考えなければならないと考えます。それでも、ダンシングブレーヴの種付け頭数制限により、他のNorthern Dancer系種牡馬よりは活力があるほうです。ジョウテンブレーヴの世代はダンシングブレーヴ産駒が13頭しかいないそうです(産駒誕生前年<1996年>の種付け頭数は20頭)。

本馬の4代血統構成を見ると、壱はダンシングブレーヴ、弐はロイヤルスキー、参はトウショウボーイ、四はキノー(1958.2.21)です。壱、弐、参はNearco(1935.1.24)系に属します。上でも述べましたが、弐が『0の遺伝』を、参が多数の準0を与えていることにより、クロスによる弊害は生じません。四はHyperion(1930.4.18)系の種牡馬。同馬の代表産駒にエリモシルバー(1967、CBC賞勝ち)等。

4代血統構成馬の父系分枝状況に目を向けると、
壱  Nearcoの4代孫
弐  Nasrullah(1940.3.2)の3代孫
参  Nasrullahの3代孫
四  Whalebone(1807)の12代孫

壱、弐、参はNearco系の同族圏内馬。四はHampton(1872)からCamel(1822)、Whaleboneにさかのぼる系統。分枝後12代以上を経ていますのでネオ異系マジックが生じます。本馬のマジックは『1』と判断します。ゆえに潜在能力指数は『10.5』と補正されます。なお、本馬の4代血統構成馬の活性値が、それぞれ1.25、0.00、0.50、0.25と別数値にあることも、知的素質の向上に役立っていると考えます。中島国治著、血とコンプレックス、P270、ミホノブルボンの解説を参照しました

本馬の活力の源泉は、壱の産駒数の少なさによるマイノリティ、4代血統構成馬の活性値の違い、母の若年期の産駒であること、さらには牝系の底力にあると考えます。しかしながら、上で記しましたように直父系Northern Dancer有数値の牡馬であることがネックです。歯替わり以後のレースに注目したいと思います。

本馬の最優性先祖は父ダンシングブレーヴ(13歳時交配で活性値1.25)です。形相遺伝はダンシングブレーヴの母父であるDrone(1966)と判断します。Drone自身は米国産馬ですが、ダンシングブレーヴ産駒の適性を見ていると、おそらく馬場の広いコースをより得意にすると考えます(ダンシングブレーヴの最優性先祖であるDroneの形相は、ヨーロピアンタイプの形が出ていると判断します)。また、本馬の料的遺伝の値は6.00です。この数値はオープン馬の中でも最上級の数値です。同じく2000年のクラシック候補であるマイネルビンテージも、同様に6.00の料的遺伝の値です。

[最後に]
ダンシングブレーヴは、自身の産駒数の少なさをもって、「種付け頭数が全てではないのだよ」ということを訴えかけていたように思います。直父系のNorthern Dancerが有数値のため、日本で牡馬のGIホースをなかなか輩出できないのが残念です。『偉大なダンシングブレーヴに牡馬のGIホースが誕生しても良いかな』と中島理論使いの私でも思います。フェブラリーS(GI)では思わずキングヘイローの応援をしてしまいました。

『血のコンプレックス』をはね返すことは大変ですが、ジョウテンブレーヴにはぜひ頑張って欲しいと願います。牝系も日本の誇るビューチフルドリーマー系ですから。

[追記]
弥生賞。内ラチ沿いから伸びて4着。久々としては良かったのではないでしょうか。ただ、3着との着差が6馬身ですものねぇ。自信を持って送り出した陣営の心中やいかに、といったところでしょうか。−2000年3月8日、追記−


B&B  目次へ戻る
中島理論コラムのページ  Homeへ戻る