第68回日本ダービーの馬柱

第68回日本ダービーの馬柱
馬番 馬名
(生年月日)
Family No. 父系
マジック
潜在能力 少ない血etc
1 (父)カチドキリュウ
(1998.3.29生)
4-G 1 6.75 ミシアーフ
シマタカ
2 (外)ルゼル
(1998.5.7生)
42 1 12.00 No Argument
パナスリッパー
3 キタサンチャンネル
(1998.2.27生)
22 1 6.00 ロジンスキー
4 ダービーレグノ
(1998.4.7生)
14-C 0 19.00 母の初仔
5 トラストファイヤー
(1998.3.21生)
11 0 17.00 ハイハット
6 (市)ダンシングカラー
(1998.3.13生)
16-H 1 10.50 Elocutionist
7 (市)テンザンセイザ
(1998.4.30生)
1-K 0 15.00 Petingo
8 ダイイチダンヒル
(1998.4.25生)
9-F 1 11.25 シーホーク
9 (市)ダンツフレーム
(1998.4.19生)
21-A 1 12.00 ロムルス
10 プレシャスソング
(1998.3.3生)
3-L 1 9.75 セントクレスピン
ヒンドスタン
11 シンコウカリド
(1998.5.7生)
2-D 1 9.75 Hoist the Flag
12 ボーンキング
(1998.5.13生)
1-L 0 16.00 イングリッシュプリンス
Val de Loir
13 ビッグゴールド
(1998.3.21生)
23-B 0 9.00 Tim Tam
14 テイエムサウスポー
(1998.5.14生)
3-L 1 12.75 ロングミック
15 マイネルライツ
(1998.2.17生)
3-L 2 7.00 セダン
16 スキャンボーイ
(1998.5.5生)
10-B 1 6.00 タニノムーティエ
17 (外)クロフネ
(1998.3.31生)
2-R 0 10.00 Classic Go Go
18 ジャングルポケット
(1998.5.7生)
11-G 1 15.00 Nodouble
Daryl's Joy

※潜在能力は数値が少ないほど大きいことを示しています。

日本ダービー展望

出走18頭のうちサンデーサイレンス産駒4頭、トニービン産駒4頭、ブライアンズタイム産駒2頭。当代御三家種牡馬の産駒で10頭を占めます。メジロベイリー、アグネスタキオン、アグネスゴールド、ミスキャスト、コイントス、チアズブライトリー、そして今はもう天国にいるタガノテイオーらが倒れて行かなければ、サンデーサイレンス産駒は10頭を超えて出走していたでしょう。しかし、彼らは「出走する」という勝つための第1条件を満たせませんでした。不思議な天の配剤なのでしょうか。人間の過ちを正すために、運命という名の「くさび」は、サンデーサイレンス産駒たちの身体に次々と打ち込まれていきました。

「死んでしまった種牡馬の仔は走る」とよく言われます。仔どもたちは、自身の父親の血がもう増えないことを知っているのかもしれません。上級条件で活力を失っていた仔どもたちが、再び走り始めました。そう、1994年のリーディングサイアーであるトニービンの産駒たちです。この日本ダービーでもジャングルポケット、テンザンセイザ、ダービーレグノ、マイネルライツの4頭が出走しています。同じ多頭数出走のサンデーサイレンス産駒に比べると勢いがあります。前週の第62回オークスも、トニービン産駒であるレディパステルが制しました。そんな父系の勢いに乗って、本命馬を選んでみたいと思います。

ジャングルポケット。当たり前過ぎますか。でも、今回だけはこの馬に勝ってほしいと願います。坂路調教のパイオニアの一人として知られる渡辺栄調教師。盟友である故・戸山為夫調教師は、坂路調教によりミホノブルボンというニ冠馬を作り上げられました。その後、渡辺師もフジキセキという怪物候補でクラシックに挑もうとされましたが、弥生賞圧勝後に故障発生。本当に無念だったでしょう。それから6年という歳月が過ぎ、再び渡辺師の元に現れたクラシック候補生が、ジャングルポケットでした。馬主、調教師、騎手、厩務員すべてフジキセキと同じスタッフで挑む日本ダービー。「ダービー」というレースに馳せる思いの重さ、深さは誰もが皆同じでしょう。けれど渡辺師は、思いを懸けて来た時間の長さが、人一倍以上です。定年まであと3年。もう一度、フジキセキやジャングルポケットのような馬に出逢えるとは限りません。ラストチャンスかもしれません。渡辺師が初めてクラシックの栄冠を手に入れられたシャダイソフィアの桜花賞から18年。桜花賞馬による日本ダービー挑戦から18年。18番枠発進のジャングルポケット、十八番(おはこ)の鋭い決め脚で、府中コースを駆け抜けてほしいと願います。中島理論的には、8代残牡先祖数が『20/128』とやや多い数値ですが、祖母父Nodouble、曾祖母父Daryl's Joyを持つ馬の頻度は少なく、闘争心のある走りができると考えます。4代血統構成の最優性先祖を曾祖母父としたのも良いです。芝の状態が良くなかった中山の馬場を1回しか走らなかったこともプラスでしょう。鞍上が気負わなければ、勝利は見えてくるはずです。

あとの3頭のトニービン産駒。テンザンセイザ、ダービーレグノ、マイネルライツ。どの馬も魅力的な馬たちです。テンザンセイザは京都新聞杯を好時計勝ち、ダービーレグノは皐月賞5着の後も順調、マイネルライツは18番目の出走枠を手に入れた幸運があります。同一種牡馬のワンツーフィニッシュは、牡馬クラシックでは顕著に現れますので、オッズをよく見て、この3頭を相手に勝負するのも手でしょう。いちおう、中島理論という血統理論のページですので、ここではこの3頭のうち中島理論的良馬を1頭だけ選びたいと思います。マイネルライツ。ラフィアン総帥・岡田繁幸氏はグランパズドリームのダービー2着から15年。15番枠発進のマイネルライツ、フロリースカップ系の底力を見せてくれるでしょうか。リンダセニョリータの系統はGI2着までの印象もありますけれど、一族自慢の末脚を発揮してくれると考えます。また、マル外開放元年ということもありますが、南関東の名手・石崎隆之騎手の日本ダービー初騎乗ということで、人の門戸開放元年ということも言えるのではないでしょうか。

フロリースカップ系の話題が出ました。このダービーには前記のマイネルライツをはじめ、テイエムサウスポー、プレシャスソングと3頭の出走があります。輸入繁殖牝馬全盛のご時世の中、この土着牝系の底力は驚異的ですらあります。思えば、結果的に今までのサンデーサイレンス産駒の中で最高の成績を収めたのは、フロリースカップ系シラオキ分枝から輩出されたスペシャルウィークでした。そのスペシャルウィークと4分の3兄弟となるのがプレシャスソングです。劣勢のサンデーサイレンス産駒4頭の中では「未知の魅力」があります。中島理論的には、母父ナイスダンサーが0交配を与えており、祖母父セントクレスピン、曾祖母父ヒンドスタンと欧州血脈を組み込んだところがGoodです。4代血統構成の最優性先祖も祖母父であり、ヨーロピアンタイプの形相が出ているところもプラスです。府中の芝2400mでこその血統です。1勝馬ということを割り引いて×

○と▲が残っています。戦績からはやはり印を打たざるを得ないでしょう、クロフネダンツフレーム。今まで見せてきたパフォーマンスは両頭ともに他を圧するものです。クロフネはやはり毎日杯の圧勝ぶりが忘れられず、ダンツフレームはダテに100%連対の成績を残していません。実績、身体能力では上位の2頭です。しかし、ダービーに向けて不安材料が無いかと言えば嘘になります。クロフネは、NHKマイルカップから中2週でのGI連続出走&オーバーワーク気味になった調教過程と合わせて「体力のおつり」があるかどうかが不安です。また、日本ダービー出走馬のについて(その2)のクロフネの項では述べませんでしたが、形相が父フレンチデピュティ(8ハロンの米GII勝ち馬)であることには、一抹の不安を覚えます。メンバー中唯一のGIホースであることに敬意を表して。ダンツフレームは、ハードトレーニングに耐え得るだけの遺伝的体力[料的遺伝値の総和:7.25(or5.25)]を持ち合わせた馬です。不意に逝ってしまった厩舎の大将格チェックメイトの分も、府中コースで頑張りたいところです。この馬の不安は、やはりマイラー形質であること、そしてネヴァービートを4代血統構成に持つ馬の1着が今まで無いことでしょう。牝系近親となるモンテプリンスの惜敗から21年。21号族の末脚、厩舎の先輩であるチアズグレイスのオークス同様に府中でも炸裂するでしょうか。

◎ジャングルポケット、○クロフネ、▲ダンツフレーム。この3頭に共通するのは、皆「母が7歳時交配の産駒」ということです。中島理論的には活性値1.75という最高潮の時に体力が受け渡されました。シルシの上での3強決戦と言えば、1993年のウイニングチケット、ビワハヤヒデ、ナリタタイシンの時も皆「母が8歳時交配の産駒」でした。ダービーだからと言って強調する訳ではないですが、母親の交配年齢にも活躍馬を輩出するための秘訣が隠れていますね。

予想のシルシは上記の通りです。が、馬券はこの通りには買えそうにありません。◎−○では配当がつかなさ過ぎるでしょう。予想した限りは責任を持ってシルシ通りの馬券を購入します。でも、少額で(苦笑)。タテ目を食らうのは怖いのですけれど、ジャングルポケットから流します。あとはトニービン産駒4頭のBOXが面白いでしょうか。

いずれにせよ、晩春。競馬の祭典が府中の杜で行われます。今年はどんなドラマが待っているのでしょうか。 多くの人が望む結果となるのか、それとも少ない人がほくそ笑む結果となるのか。夢は尽きません。各々の馬と人に思いを託すのみです。どうか、馬と人すべてにとって良い結末が待っていますように。どうか、全馬無事に完走できますように。遠く関西の空の下から祈っています。

以上、オオハシでした。これから走る馬、人すべてが無事でありますように。

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