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アベリア
駅伝−走る理由−

言い訳はしたくなかった。これでも男だから。
負けたくなかった。自分自身に。
認めてもらいたかった。あなたに。

あなたがいてくれたから、僕は頑張ろうと思った。
あなたの小さな微笑が、僕の大きなエネルギーになった。

裏切ったのは僕の方だった。
いつも笑顔をくれていたのに、僕はどうして怒鳴ったりしたのだろう。

あなたに振られたから?

多分、そうだと思う。いや、絶対にそうだと思う。
あの時から、あなたは僕の前に姿を現すことが少なくなった。

駅伝は、一本のタスキに『想い』を込めて、『心』をつなぐ競技。
一人で走っている訳じゃない。そんな事は分かっていた。
けれど、僕の『心』は、僕の『体』と同調しようとしなかった。

僕の『心』は、まだあなたのことを想っていた。
どんなに切り離そうとしてもあなたのことばかり。
何十回も何百回も何千回も僕の中を駆け巡った。
振られても、好きなものは好きだった。
これからも、それは変わらないと思う。

僕の走る理由はあなたに在った。今になればそう思う。

言い訳はしたくなかった。これでも男だから。
負けたくなかった。自分自身に。
認めてもらいたかった。あなたに。

ただ、あなただけに。



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