第62回菊花賞の馬柱

第62回菊花賞の馬柱
馬番 馬名
(生年月日)
Family
No.
父系
マジック
潜在能力 少ない血etc
1 ビッグゴールド
(1998.3.21)
23 0 9.00 Tim Tam
2 マンハッタンカフェ
(1998.3.5)
16 3 4.50 Luciano
Ticino
3 チアズブライトリー
(1998.3.24)
13 1 9.00 シャトーゲイ
4 ワンモアバンクオン
(1998.4.23)
A13 1 13.50 Noholme
5 アドマイヤロード
(1998.5.27)
11 2 7.00 Argument
6 メイクマイデイ
(1998.4.2)
4 2 7.00 ヴェンチア
7 サンライズペガサス
(1998.4.15)
1 1 9.00 King of the Tudors
8 エアエミネム
(1998.5.21)
8 0 9.00 Northern Dancer
0化
9 タニノトリビュート
(1998.4.14)
2 1 9.75 Hugh Lupus
10 マイネルデスポット
(1998.4.27)
7 1 15.00 シュプリームギフト
11 ダンツフレーム
(1998.4.19)
21 1 12.00 ロムルス
12 テンザンセイザ
(1998.4.30)
1 0 15.00 Petingo
13 ジャングルポケット
(1998.5.7)
11 1 15.00 Nodouble
Daryl's Joy
14 アグネスゴールド
(1998.4.10)
16 0 16.00 Northern Dancer
準0化
15 ダービーレグノ
(1998.4.7)
14 0 19.00 母の初仔

※潜在能力は数値が少ないほど大きいことを示しています。

[Notes]

昨年−2000年−から菊花賞の施行時期が2週くり上がり、天皇賞・秋の前の週に行われることになりました。ほんの半月ほど早まるだけで、レースの様相がずいぶん変化したように思います。昨年は本賞金400万円の馬が2頭出走していました。春のクラシックならともかくとして、秋のクラシック最終戦に500万クラスの馬が出走できるという施行条件は「?」と思わざるを得ません。また、皐月賞やダービーに比べると前哨戦が少ないです。皐月賞ならば弥生賞、スプリングS、毎日杯、若葉Sなどがあり、ダービーならば青葉賞、京都新聞杯、プリンシパルSなどがあります。ところが菊花賞は、東のセントライト記念、西の神戸新聞杯という両GIIレースだけです。本番とおなじ京都競馬場で行われるトライアルはありません。旧京都新聞杯と同じ週に行われていた嵐山S(準OP)もなくなりました。菊花賞というレース自体が、ジャパンカップに向けてのトライアルとなってしまった感があります。

過去のジャパンカップの成績を見ると、菊花賞後の3歳馬というのは、好戦はできても連対を果たせていません。以前は中2週、あるいは中1週という体力的に厳しい条件があったにせよです。あまつさえ中4週になった昨年でも、アグネスフライトとエアシャカールというダービー1、2着馬が惨敗してしまいました。淀の3000mで「同期生どうしの中だるみのペース」に慣れてしまった後の府中の2400mは、とても厳しいものなのでしょう。ジャパンカップは海外馬を含めた一流古馬との初対戦になる、淀みない流れになる、坂越えとなる500mの直線がある……。3歳牡馬がジャパンカップを勝つためには、菊花賞を捨てなければならないように思います。欧州において、凱旋門賞を勝つためにセントレジャーを捨てるように。3歳時はシンボリルドルフでも、スペシャルウィークでも越えられなかった「壁」。打ち破るのは大変に厳しいものですね−もっとも、ルドルフは中1週で挑み、下痢をおこした状態で3着ですけれど−


さてさて、現在の施行条件への「?」はともかく、今年も菊花賞競走が行われます。近年、春の牡馬クラシックでは同一種牡馬産駒のワンツーフィニッシュがよく見受けられますが、菊花賞では1996年のダンスインザダーク&ロイヤルタッチ(父サンデーサイレンス)があるくらいです。それ以前となると、1964年のシンザン&ウメノチカラ(父ヒンドスタン)までさかのぼらなければなりません。また、よく言われますように、関東馬が連対を果たすケースが多く見られます。1980年2着のモンテプリンスから1994年2着のヤシマソブリンまで15年連続で関東馬の連対がなされていました。最近5年でも1997年2着のダイワオーシュウ、1998年1着のセイウンスカイ、2000年2着のトーホウシデンとその存在感を示しています。関西馬が強くなったと言われる現在でも、やはり秋の関東馬は脅威です。中島氏曰く、それは「磁場の働きによるもの」ということです。

経度にして2度以上の移動をした場合、動物の体内時計は移動後の磁場に慣れようとします。栗東から北海道への移動は経度にして6度ほどです。関西馬は、3ヶ月間北海道へ放牧に出したら、3ヶ月間は栗東の厩舎で調整し直さなければ、体内時計に狂いが生じて体調は本物ではないということです。上述したシンザンを管理された武田文吾調教師(故人)は、秋の競馬のことを考えて、シンザンを京都の自厩舎に残されたそうです。余談となりますが、偉大な師の教えを受けてか、武田文吾一門は、馬をなるだけ栗東近辺に置いておく傾向が見られます。安田伊佐夫調教師は、昨年も今年もメイショウドトウを栗東に残されました。シンザンの厩務員として知られる中尾謙太郎調教師は、石川県の小松温泉牧場を多用されます−経度にして約67分の移動−。中尾謙太郎師の実弟となる中尾正調教師も、3歳時のオースミブライトを栗東に残されていました。また、武田師の娘婿となる鶴留明雄調教師は、ダービー馬タヤスツヨシを手がけられた時、やはり夏場栗東に残されていました。如実に残る『文テキイズム』というところでしょうか。……と言いながら、ジャングルポケットの渡辺栄調教師は、休養に北海道をよく利用されますね。社台さんとの結び付きが強いということもありますけれど。まま、文テキイズムはともかくとして、栗東所属の厩舎関係者の方々に、「どの季節が得意ですか?」という事をたずねたならば、きっといろんな答えが返ってくる気がします。

現在では夏の使い出しが早くなり、北海道へ行くすべての関西馬に対して、磁場云々が当てはまる訳ではありません。放牧と調整は必ずしも同値ではありませんしね。色々な意見を見聞きすると、しっかりと乗り込んで調整している場合やレースを使って来ている場合は、「北海道へ行っていても大丈夫」という感じです。また、函館競馬場で調整するというパターンも多いです。札幌記念が別定GIIとなったことは大きな意味合いを持っていますね。ここを叩いて秋を迎える一流馬が増えました。と言うか、伊藤雄二厩舎のオープン馬ですか(苦笑)。1997年と1998年のエアグルーヴ、2001年のエアエミネムと、GIIに昇格以降5回のうち3回は伊藤雄二厩舎の馬が制しています。

その伊藤雄二厩舎のエアエミネム。現3歳牡馬勢では最多の6勝を挙げており、駒草賞、巴賞、札幌記念、神戸新聞杯と4連勝で菊舞台に臨みます。函館、札幌と「レースを行いながら」の北海道転戦ですから、馬はボケていないと考えます。また、春のクラシックには出走していませんでした。ゆえに別路線からのチャレンジャーとも言えます。管理される伊藤師は、ロイヤルタッチで菊花賞を2着された時、函館記念から京都新聞杯というステップを踏まれました。今回はその時より間隔は詰まりましたが、連勝して精神エネルギーが充実した状態ですから、連対は間違いないと考えます。父デインヒルは気掛かりですけれど、兄アラバンサも父El Gran Senorで長距離戦を戦いステイヤーズSを2着しました。形相のNashuaと合わせて、母系からスタミナを補完されていると判断します。また、伊藤師のクラシック5冠完全制覇がかかっている状況で、今回が年内最終走ということもあり、陣営も目一の勝負と思います。「連勝してきた馬は狙え」で

ダービー馬ジャングルポケット、皐月賞&ダービー2着のダンツフレーム、復活したアグネスゴールド、昇り馬サンライズペガサス、そしてテンザンセイザ、ダービーレグノという重賞勝ち馬。関西馬はやはり多士済々、強力な布陣です。私は関西人ですからもちろん応援したいのですが、それぞれに懸念材料はあります。ジャングルポケットは中8週のローテーションが大丈夫なのか。ダンツフレームは太鼓腹体型から距離が気掛かり。アグネスゴールドは2000mまでで勝負する馬。サンライズペガサスは淀が得手ではない。テンザンセイザ、ダービーレグノは神戸新聞杯で完敗。まま、アラを探し始めればきりがないのですが。これらの関西馬の中で食指が動くのは……、うーん、どの馬かなぁ。地力でジャングルポケット、鞍上でダンツフレーム、勢いでサンライズペガサスですか。ふ、普通やん(笑)。まま、妥当に予想するのが私のパターンですから、ここはダービー馬を信頼しましょう。ジャングルポケットに。ただし、札幌記念の時のように首が高い走法ならば、淀の3000m戦では不安が残ります。広々としたコースに変わることは間違いなく良いことですけれど。あとの関西馬はサンライズペガサスに×だけとしておきます。菊花賞の距離を走るには母系が軽すぎるきらいはあります。道中の息の持たせ方が、池添騎手の腕の見せ所という感じです。

「秋の関東馬は脅威」と書きましたから、関東馬を指名しない訳にはいきませんね。今回は2頭の出走があります。マンハッタンカフェとメイクマイデイ。この2頭はともにセントライト記念敗退組です。しかし、セントライト記念の上位3頭がそろって回避したことにより、目の上のタンコブとなる馬たちはいなくなりました。という訳でセントライト記念4着となったマンハッタンカフェ。夏の札幌における長距離戦の経験と鞍上である蛯名正義騎手の今年の勢いを買って。半兄エアスマップはオールカマー勝ちを収めましたし、母系はドイツの名牝系です。最優性先祖の曾祖母父Ticinoと合わせて、スタミナの裏付けはあります。また、直前の長距離輸送を避けて早めの栗東入りを果たしている所も良い感じです。そしてもう1頭、2500mの九十九里特別勝ちから中2週での挑戦となるメイクマイデイ。重馬場だったセントライト記念は後方12番手から追い込んでの6着でした。鞍上に園田の名手である小牧太騎手を迎え、叔母アインブライドと同じようにビックリに期待。

< 予想 >
エアエミネム
ジャングルポケット
マンハッタンカフェ
メイクマイデイ
× サンライズペガサス

前週の秋華賞の結果を持ち出すまでもなく、今年の春のクラシック組はハイレベルです。もしかしたら、近年最強の世代かも知れません。ダンツフレームも相当に強い馬ですから、ガッチリ走られても「参りました」と頭を下げるほかないです。ここ10年で6勝とダービー2着馬は菊花賞と相性が良いですしね。でも、やはり体調面と太鼓腹体型が気になります。1997年のシルクジャスティスと良く似たタイプだと思っています。ゆえに今回は思い切って無印としました。やっぱり、無謀かなぁ。

あと、ちなみに私は伊藤雄二厩舎との相性は最悪です(笑)。淀で走ったエアグルーヴ、府中2400mのマックスキャンドゥ……。はは、悪夢が頭をよぎりますが、何とかエアエミネムに晴らしてもらいたいものです。

以上、オオハシでした。これから走る馬、人すべてが無事でありますように。

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