中島理論で見るGIレースの勝ち馬(1993年編)

(外)シンコウラブリイ
  • 鹿毛
  • 1989.2.2生
  • 愛国・ファイアーストーン夫妻生産
  • 馬主・安田修氏
  • 美浦・藤沢和雄厩舎
シンコウラブリイの4代血統表

Caerleon
鹿毛 1980.3.27
種付け時活性値:0.00
Nijinsky
鹿毛 1967.2.21
Northern Dancer
鹿毛 1961.5.27
Nearctic 1954.2.11
Natalma 1957.3.26
Flaming Page
鹿毛 1959.4.24
Bull Page 1947
Flaring Top 1947
Foreseer
鹿毛 1969
Round Table
鹿毛 1954.4.6
Princequillo 1940
Knight's Daughter 1941
Regal Gream
鹿毛 1964
Hail to Reason 1958.4.18
Miz Carol 1953
ハッピートレイルズ
鹿毛 1984.5.29
仔受胎時活性値:1.00
ポッセ
栗毛 1977.5.15
種付け時活性値:1.50
Forli
栗毛 1963
Aristophanes 1948
Trevisa 1951
In Hot Pursuit
鹿毛 1971
★Bold Ruler 1954.4.6
Lady Be Good 1956
ロイコン
鹿毛 1975.3.4
仔受胎時活性値:2.00
High Top
黒鹿毛 1969
種付け時活性値:1.25
Derring-Do 1961
Camenae 1961
Madelon
鹿毛 1970
仔受胎時活性値:1.00
セントクレスピン
栗毛 1956
種付け時活性値:1.25
Azurine
鹿毛 1957
仔受胎時活性値:1.00
シンコウラブリイの4代血統構成&4代父系の活性値&4代父系の分枝状況
母父 祖母父 曾祖母父
Caerleon
(Northern Dancer系)
ポッセ
(Hyperion系)
High Top
(Dante系)
セントクレスピン
(Hyperion系)
父の活性値 母父の活性値 祖母父の活性値 曾祖母父の活性値
0.00
(8歳時交配)
1.50
(6歳時交配)
1.25
(5歳時交配)
1.25
(13歳時交配)
父の分枝状況 母父の分枝状況 祖母父の分枝状況 曾祖母父の分枝状況
Nearcoの4代孫 Hyperionの3代孫 Nearcoの4代孫 Hyperionの孫
シンコウラブリイのB&B理論的総括
8代残牡先祖数 4代血統構成
(資質固定指数)
潜在能力値 少ない先祖etc
9/128 A  C  A  C
(0.66)
5.94 ポッセ
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 何番仔?
ポッセ
(Riot)
5.00 近親活躍馬多数
(No.4-D)
初仔

潜在能力値は数値が少ないほど大きいことを示しています。

[Notes]

『愛国生まれのベストマイラー』シンコウラブリイ。雨中の決戦となったこのマイルチャンピオンシップ(以下、マイルCSと略)。真っ赤な帽子に真っ黒な勝負服を背中に乗せた鹿毛馬が、直線一途に先頭に立って、真っ先にゴールインしました。鞍上の岡部幸雄騎手はマイルCS初制覇、管理された藤沢和雄調教師はGI初制覇でした。レースの2着には逃げ粘った『雨上手』イイデザオウ、3着には『あの時君は若かった』ドージマムテキが入りました。

中島理論的解釈を行うと、4代血統構成は『Northern Dancer(Phalaris)系×Hyperion(Hampton)系×Dante系×Hyperion系』となります。Phalaris系とHampton系のニックス配合です。前週のエリザベス女王杯を制したホクトベガもこのニックスでした。シンコウラブリイは父Caerleonの8歳時交配生産馬です。通常ならば「0遺伝馬」と単純に思うところですが、自身の誕生日が2月2日、父の誕生日が3月27日ということから「?」マークがつきます。ここでは、いちおう0遺伝馬と判別しましたが、皆様はそれぞれのお考えのもとでご判断ください。

シンコウラブリイの牝系は、4号族Azurineの系統です。母ハッピートレイルズは愛国産で0勝馬。初仔としてシンコウラブリイを輩出しました。また4番仔として、デビュー以来11戦連続連対を果たし、後にエプソムカップを優勝したタイキマーシャル−同馬はその父ダンスオブライフが8歳時交配の0遺伝馬−を輩出しました。祖母ロイコンは英国産で2勝馬。2番仔にグレイカーンS(愛GIII)の勝ち馬Kings Riverを、3番仔にビウィッチS(米GIII)2着のInnsbruckを出し、4番仔にハッピートレイルズを輩出しました。7番仔には札幌記念3着のセサロニアンがいます。また、8番仔となるRoyal Brideの仔に、アルゼンチン共和国杯の勝ち馬タイキエルドラドが出ました。曾祖母マデロンは英国産で2勝馬。シルクングライダーS(現愛GIII)2着があります。初仔にロイコンを送り出しました。5番仔Mad Guardはラ・ジョンシェール賞(仏GIII)の勝ち馬となり、6番仔のSigymと8番仔のMariposaは1勝馬ですがともにプリティポリーS(愛GII)3着となっています。また、3番仔Callixenaの仔にシルクングライダーS(愛GIII)の勝ち馬Inannaが輩出されました。4代母Azurineは英国産で3勝馬。ロイヤル・ホイップS(現愛GIII)を勝ち、愛1000ギニー3着。Madelonの8歳年下の妹に英愛オークスを制したブルーウィンドが出ています。また、Madelonの2歳年上の姉Contrailの曾孫にGI5勝馬タイキシャトルがいます。

なお、祖母ロイコンと母ハッピートレイルズの間の活性値の受け渡しを『2.00』と言い切っていますが、それは……、

また、牝系のボトムラインにおける繁殖牝馬の受胎時の卵子が、3回の世代交代の間に少なくとも1回2.00の数値を持っていた場合も往々にして名馬の出る土壌となる。たとえばトウショウボーイ(2回の世代交代が2.00)、ハワイアンイメージ(2回)、ライスシャワー(2回)、クライムカイザー、ミホノブルボン、シンコウラブリイなどが挙げられる。

−中島国治著、『血とコンプレックス』(KKベストセラーズ)、P233より抜粋(文中脚色責任、オオハシ)。−

『血とコンプレックス』の発刊はシンコウラブリイがマイルCSを勝つ以前なのですが−1993年5月1日初版発行−、シンコウラブリイの持つ質料を中島氏は見抜いていらしたようです。でも、他にも色々いるはずなのに、並み居る名馬に混じって、発刊当時はGIIウイナーに過ぎなかったシンコウラブリイがなぜ入っていたのでしょうか?

シンコウラブリイは目元が優しく、ピンと立った耳がなんとも言えず可愛らしい馬でした。美しい鹿毛馬から受ける印象は「やはり愛国産馬」という、日本馬とは一線を画したものでした。440kg台の小柄な牝馬でしたが、馬体から受ける迫力は、500kg台の大柄な牡馬にもまったくヒケを取りませんでした。

すでに繁殖牝馬としてオークス4着のレディミューズを送り出しています。これからも日本の新しい名繁殖牝馬として良馬をたくさん産んでくださいね。

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